2011.10.14

[BM] 今、平和を語る:全国空襲被害者連絡協議会・共同代表、弁護士の中山武敏さん – 毎日jp(毎日新聞)

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今、平和を語る:全国空襲被害者連絡協議会・共同代表、弁護士の中山武敏さん – 毎日jp(毎日新聞)

戦時中の民間人への補償として、戦時災害保護法(1942年2月24日公布・4月30日施行、1946年9月廃止)があった。

「・・・(中山)なんと言っても、空襲被害者は戦後補償の対象から切り捨てられてきました。日本国内にいた外国人の被害者もそうです。一方で、軍務や国の業務に従事した軍人・軍属には手厚い援護がなされ、年間で約1兆円近い恩給などの補償が出ています。

 --準軍属の「防空従事者、警防団員等」まで、補償は拡充されました。

中山 日本の戦後補償は、戦前の軍事国家体質を引きずったままに軍人・軍属を優先したのです。国民は国のために命をささげて当然だという人権感覚にほかなりません。この「お国のため」の視点で貫かれた戦後補償政策のもとで、民間人の空襲被害者は放置されました。これに対してドイツ、イタリア、フランス、イギリスなど欧州の国々では戦争被害は民間人も軍人も差別しない、つまり被害の平等負担の観点に立った国内平等主義です。
国際法の常識であり、だから日本の戦後補償政策がゆがんでいるのは明らかで、憲法14条の平等原則にも反しています。

--そうした問題を踏まえて国に謝罪と損害賠償を求めた東京大空襲訴訟ですが、09年12月の東京地裁判決で131人の原告は敗訴し、現在、控訴中です。

中山 司法の責任を放棄した判決ですが、決して悲観していません。というのは87年の名古屋空襲訴訟で最高裁が判断した「戦争被害受忍論」に依拠しなかったからです。

--「戦争犠牲ないし戦争損害は、国の存亡に関わる非常事態のもとでは、国民の等しく受忍しなければならないものである」。これが最高裁判決の「受忍論」です。

中山 いずれの戦後補償裁判も、裁判所はこの最高裁判決に依拠して棄却してきました。しかし今回の東京大空襲訴訟では「一般戦争被害者に対しても、軍人・軍属と同様に、救済や援護を与えることが被告(国)の義務であったとする原告らの主張も、心情的には理解できないわけではない」と述べたのです。その上で「さまざまな政治的配慮に基づき、立法を通じて解決すべき問題であるといわざるを得ない」と指摘しました。
軍人・軍属と民間人の空襲被害者を歴然と差別する「戦争被害受忍論」を、裁判所はそのまま引用できなくなったということです。この流れを変えてはなりません。

--東京地裁の口頭弁論で弁護団長として意見陳述した際、中山さんは「本件訴訟は人間回復を求める訴えである」と語気を強めました。

中山 軍人・軍属と一線を引いて差別を肯定する不条理が、空襲被害者の苦しみを拡大させている、との実感があります。耐え難い差別により、人間の尊厳を奪ってきた国の人権感覚を問う、つまり人間回復を求める裁判なのです。原告の方々は、再び戦争の苦しみを次世代に負わせたくないという強い気持ちもあって立ち上がりました。・・・」

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