2008.09.12

麻生太郎 外相時の講演録・過去の差別発言

【発言1】 「防衛シンポジウム2007in京都」
日本の平和と防衛を考える ~安全は空気どすか?
第1部:基調講演 麻生太郎氏(外務大臣、衆議院議員)

(2007年2月3日・参加者レポートより。人称肩書は当時のもの)

<開始10分ほど欠落>・・・防衛協会の青年部が京都にあるということは大変頼もしいことであります。この京都というところは千数百年にわたって陛下がおわしました,その権威,権力の源である権威に皆が集まってくるところでして,京都の皆さんは権威,権力に従うのが大変うまい(会場笑)。

 そこでこのシンポのスローガンにも掲げてあります「安全は空気どすか?」というこの意味というのは,もう数十年も前に『日本人とユダヤ人』という本の中でイザヤ・ペンダサン,山本七平という人のペンネームと言われておりますが,「日本人は安全と空気はタダと思っている」とこう書かれているところからとったのだと思います。皆さん,今や環境問題と言われて久しいけれども,空気というのはタダじゃありませんよ。水なんかもタダじゃない。皆さんミネラルウォーターというのを買ってきて飲んでますね。あのミネラルウォーターというのはあんたガソリンより高いんだから(会場笑)。
空気もコンピューターをつくるクリーンルームっつーところではチリ一つない純度100%の空気を買わなきゃいけない。大阪に本社のある日本酸素というところが作ってますがね。私がこれだけ言わなきゃいけないのは,安全もねタダではないんです。いくら平和々々と念仏を唱えてたってダメなんだ。日本の防衛ということを考えたときに,まずこれが一つ。

 2点目はじゃあ,防衛力を持つときに絶対にこれは欠かすことができないのはそれを使うってときの国民の意思の統一,コンセンサスがないと本当の抑止力にはならない。例えばハンガリーはどうだったか。
プラハの春でハンガリー国民はこれがないもんだからソ連にやられちゃった。ハンガリーには闘いの歴史がないからですよ。でもポーランドはその歴史があったんですね。だから負けなかった。

 そして3点目は防衛力を使用する,保持してるってことを相手の国に知らせること。80年代のイラン・イラク戦争でイランはホメイニ師のイラン革命でその時対峙していた河から軍隊が退いちゃった。イランは北にトルコ,アルメニア,西にイラクと接している。こういうときにフセインはよしってんでイランに攻め入ったわけだ。ところがイランもまた兵隊を集めてまた押し返したもんだから今の国境線が河まできている。こういうことでお互い不必要な犠牲が出たわけだ。
あのフォークランド紛争ってのも皆さんアルゼンチンが突然フォークランドって島に攻め込んだことになってますがね,前々から領土紛争があって。あれはあんたイギリスがその前に空母,航空母艦を廃止しちまったんだ。それってんでアルゼンチンが攻撃をしかけて,イギリスはそんなつもりじゃなかったものだから慌てて空母を再編成して空挺部隊,パラシュート落下傘部隊でもってやり返したけれども,ムダな犠牲を払った。だからこの相手の国に知らせるってのは大事なんですよ。

 じゃ日本の防衛力はどうなってんのか。これはもう技術から資質から,防衛力は向上した。小泉さんの時代,’02年の国民保護法,有事法制が整備され,’06年の8月にはイラクへ自衛隊がいく。行ったのは皆20歳代の若者,のべ6千人。これが大変,非常に評判がいい。何せ脱走ゼロ,婦女暴行ゼロ,強盗ゼロですよ。大変な成績だって国際的にものすごい評価をいただいている。カタール,バーレーンに派遣したのも同様でした。皆さん,茶髪の若者がどうだこうだって新聞が書きたててるが,日本の若者だってマトモな人もいるんですよ,新聞は書かないけど(会場拍手)。
こういうのをもっと書くべきなんだ。彼らマトモな若者がね,外交や政治と違う次元でこの日本のブランド,国威を高めてるんですよ。日本の国際的な評判はこの数年で本当に上がったんだってことを皆さんはもっと知らなきゃいけない。日本は立派にやってるんですよ(会場拍手)。

 この後のシンポには私は出られませんがいくつかそこで議論すべき論点を挙げておきたい。まず1点目はPKO,国連加盟国192カ国ありますけれども,これがみんなと仲良く,日本はその中でじーっとしてればいい。こういうことではもうダメなんじゃないか。なんたってあんた,我が国は今や貿易収支は黒字,経常収支は黒字,所得収支は黒字,特許料も黒字だ。貿易額も世界の何分の一なんだ。こんな全部黒字の国はないんですよ。アメリカみたいに全部赤字の国はありますがね(会場笑)。
例えばトルクメニスタン,タジキスタン,…とたくさんあるあの中央アジアの全部の国を足して,経済規模が三重県と同じ。アフリカ53カ国,これ全部足して韓国と同じ。こういうことですよ。その日本がじーっとしていてはいけない,何をするかということだ。BBCで昨年33カ国4万人アンケート調査をやりました。最も貢献している国はどこか。それの第一位が日本ですよ。こういうことも新聞に出ないんだなあ。国際平和協力,自衛隊は本当に大事なんですよ。今もう東ティモールにもいるしゴラン高原,それからインド洋にもいってますね。そういうのが日本の評価を大にしてるんだ(会場拍手)。

 2点目は集団自衛権について。
私はもちろん,世界の中の日米同盟,これは重要ですよ。京都の皆さんは商売をされておられますからよく御存知ですが,商売で約束手形を振り出す,これをもらってサアお終いなんて寸法はないでしょう。あの手形ってのはそれから銀行に行って現金が入って初めて成立するもんなんだ。これと同じでね,同盟というのもいざ役に立つのかはこれは普段の人間関係ですよ。ただ条約があっても有名無実じゃ何の役にも立ちはしない。それで今どうですか。日本が危ないときはアメリカが助けるけれどもアメリカが危ないときには日本は助けない。助けるのはアメリカだけ。これで同盟に実効性があるのか。じゃあこの集団的自衛権をどの程度までやるか,これは今後の研究でやらなきゃいけないし,国会の論戦で深めていかなきゃならない。
憲法改正ともからめてですね。

 3点目は平和について。
ドンパチ終わったあとが大変ってことは皆さんイラクでお分かりでしょう。アメリカのコンサルタント会社が請け負ったシミュレーションには戦争で勝つシナリオはあったけれども占領後のオペレーションがなかった。ここで要るのは官僚だ。日本は大きな力を持ってますよ。
 例えばカンボジアであの悪名高いクメールルージュの裁判はどこでやっているか。これがICJ,国際司法裁判所が依頼して日本人がやってんですよ。
そのカンボジアの裁判所も,民事訴訟法,それから民法,これも皆日本人が作ってるんだ。法務省の司法官の方々がやっている。
 それから地方自治。この地方自治というのを全く伝統がない東欧やアラブへ行ってごらんなさい,全然通じない。地方税がっつっても何のことやら。そこで自治省,今の総務省が地方自治大学校というのをつくってベトナムから役人を連れてきて地方行政を教える。こういう日本が明治に西洋に教えてもらってきたようなことを今日本がアジアでやってんです。
 ドンパチなら日本じゃない,フィンランドやカナダやオーストラリアが居る。だけれども行政官の訓練,外国人を含めてね,それにカネを出す,こういうのが国連から日本に期待されてるんだ。これはもう既に来年度の予算にも計上してます。

 日本は皆さんが思ってるより評価は高いんですよ。あたしゃ外務大臣になって1年と4ヶ月ですか,安倍さんともやらしてもらってますが,その間に日本は本当に変わった。国際社会では日本の評価,地位,期待が高い。

 最後に少し大事なことをお話します。それは安全,防衛というのはゼニ,そして今申し上げました行政以外に,文化というのもけっこう大きい。
文化ってえと京都ですと能や狂言なんかを知ったかぶりしてああだこうだっていうんじゃないですよ,すぐそういうのばかし得意なんだ(会場笑)。
 ここで言うのは若けえ人の話です。若けえ人,東南アジアのガキ,子供に日本語習いたいっていうのが倍増している。その理由はTVゲームの攻略本が日本語だからいち早く読んで差をつけなきゃいけない。ここでTVゲームって何だって人居ますか。J-POPの椎名林檎だ,宇多田ヒカルだって分からない人。家帰ったら孫にでも聞いてくださいよ(会場笑)。
東南アジアの子供はJ-POPの椎名林檎,宇多田ヒカルを日本語で歌うのよカラオケ行って。あたしゃもう終わった人ですから,若けえ頃にはエルビスのラブミーテンダーとかジェイルハウスロック歌ってましたが。まあ今一国の総理大臣でまだエルビス歌ってる終わった人もいましたが(会場笑)。
X-JAPANのYOSHIKIがロスに住んでるんですが,「オーヨシキ!ゲンキ?ドーシテル?」って日本語で声かけるそうですよ皆。それほど言葉は力を持つ,日本の文化として広まる。影響を与えていって,そうすれば戦うなんてこともしにくくなる。食べ物やマンガなんかもそうです。こういうのがその国の安全,防衛にもつながるんです。

 もう時間もきましたのでわたくしのお話は以上にして,この後シンポジウムがあるそうですが明日北九州(*)で選挙がありますからその応援で,わたくし選対部長をやっておりますから行かなきゃいけませんので失礼します。ですが明日もですね,わたくしのこの訴えでどのくらい票が集まるという,こういうのが相手の国に伝わるんですよ。皆さんのご協力本当によろしくお願いします。(拍手)

(イベントデータ)
【時】 2007年2月3日(土)15:00~17:30(開場14:00)
【処】 きらっ都プラザ京都産業会館8F シルクホール(入場無料)
【主催】 京都府防衛協会青年部会 【共催】京都府防衛協会

*翌日投開票の北九州市長選挙では、自民・公明推薦候補は落選。


【発言2】『野中広務 差別と権力』(魚住昭 著)より

 二〇〇三年九月二十一日、野中は最後の自民党総務会に臨んだ。議題は党三役人事の承認である。楕円形のテーブルに総裁の小泉や幹事長の山崎拓、政調会長の麻生太郎ら約三十人が座っていた。

 午前十一時からはじまった総務会は淡々と進み、執行部側から総裁選後の党人事に関する報告が行われた。十一時十五分、会長の掘内光雄が、

「人事権は総裁にありますが、異議はありますか?」

と発言すると、出席者たちは、

「異議なし!」

と応じた。堀内の目の前に座っていた野中が、

「総務会長!」

と甲高い声を上げたのはそのときだった。

 立ち上がった野中は、

「総務会長、この発言は、私の最後の発言と肝に銘じて申し上げます」

 と断って、山崎拓の女性スキャンダルに触れた後で、政調会長の麻生のほうに顔を向けた。

「総務大臣に予定されておる麻生政調会長。あなたは大勇会の会合で『野中のような部落出身者を日本の総理にはできないわなあ』とおっしゃった。そのことを、私は大勇会の三人のメンバーに確認しました。君のような人間がわが党の政策をやり、これから大臣ポストについていく。こんなことで人権啓発なんてできようはずがないんだ。私は絶対に許さん!」

 野中の激しい言葉に総務会の空気は凍りついた。麻生は何も答えず、顔を真っ赤にしてうつむいたままだった。

(発言2 参照):情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)

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