2008.09.27

岩国基地所属米兵の集団強かん事件に関する
「大軍法会議」に対する抗議声明 
(「軍事基地と女性」ネットワーク 2008年6月28日付)

「軍事基地と女性」ネットワークより。
(関連:米軍性暴力反対10・14全国一斉抗議行動の呼びかけ)

女性の人権を踏みにじる米軍の軍法会議の実態を広く知らせるために下記の抗議声明を転送・転載してください!


岩国基地所属米兵の集団強かん事件に関する
「大軍法会議」に対する抗議声明 (2008年6月28日付)

 岩国基地所属米兵4人が昨年10月広島市内の19歳の女性を集団強かんした事件について、同基地の「大軍法会議」は集団強かんが行われた事実を認めない判決を下した。
 私たちはこの不当判決に強く抗議する!

◆判決内容に対する批判

 5月9日にラリー・A・ディーン(20)、
 同20日にジャービス・D・レーナー(34)、
 6月10日にカール・M・アンダーソン(39)、
 6月25日にレネイアス・J・ブラズウェル(25)
に対する判決が言い渡されている。それぞれ懲役1年、1年6カ月、1年3ヶ月、1年という異常に軽い量刑である。

 驚いたことに米軍側の主張によれば、昨年統一軍事裁判法における「強かん」の定義を「誘拐や暴行を加えて同意なく性行為をすること」と変更したので「女性が明らかに同意していなかったのに性交渉した」ことは「強かん」にはあたらず、「不正な性的接触とみだらな行為」(”wrongful sexual contact and indecent acts”)にすぎないというのである。

 米軍法の変更は「強かん」と「女性の同意なしの性交渉」を別ものとする、すなわち「女性の同意なしに男性が性交渉を行っても強かんにはあたらない」というものである。そのような定義の変更は、それ自体が女性の人権を脅かすものである。

 しかも広島事件に関しては、米兵たちが車を使用して女性を逃走できない状態に置き、女性の意志に反して集団で性交渉を強要したという事実が知られている。「大軍法会議」はこの事実を知りながら、それらが誘拐でも暴力でも威嚇でもないとした。市民社会における正義や人権に関する常識とはあまりにもかけ離れた認定と言わざるを得ない。

 こうして米兵たちは「他の隊員と互いの面前でみだらな行為をしたこと」や「飲酒などに関する軍紀違反」しか罪と認められず、1年そこそこの懲役と除隊処分のみとされた。
 ブラズウェルは被害者の好意を利用しておびきよせ、集団強かんに導いた主犯だが、あろうことか、わずか1年のみという量刑である。

 このような不当な判決によって「大軍法会議」は結審し、未決期間も服役した日数に繰り入れられるため、米兵たちはもうまもなく釈放されることになる。

◆軍法会議ゆえの不当判決

 このような異常な判決が下されたことに私たちは憤りを禁じ得ない。国際社会の中で強かん罪がきわだって軽いといわれる日本でさえ、強かん罪の刑期は最低3年、集団強かん罪は最低4年である。

 しかも米国は歴史的には強かんを死刑に値する重罪とみなしてきた。強かん罪は多くの州で25年~終身刑。強かん犯に死刑を科すことを認めている州もある。
 つまり自国の通常の裁判では強かんに重い刑を科す米国が、外国に駐留する自国軍の軍法会議では集団強かんの犯罪者たちを一年そこそこで放免しようとしているのである。

 この判決には、女性差別主義ばかりでなく、軍隊の優越主義・民族的人種的差別主義が露呈しているといわねばならない。

◆被害者を重ねて傷つけた米軍「大軍法会議」

 このような軍法会議の不当判決は、正義を求めて証言台に立った被害者を重ねて深く傷つけるものである。
 彼女は軍法会議の場で嗚咽し身をふるわせながら誘拐や集団強かんの被害をくりかえし訴えていたという。

 が、市民社会の正義が通用しない米軍の軍法によって、しかも米軍基地という密室の「裁判」によって、彼女の訴えはことごとく退けられた。
 彼女は米兵の集団強かんによって大きな打撃を受けただけでなく、このような米軍法会議によって、セカンドレイプにさらされたのである。

 女性に対する暴力を暴力と認定することなく、「他の隊員と互いの面前でみだらな行為をした」といった米軍内部の「軍紀」問題で処理しようとする判決がいかに彼女を傷つけたことか、被害者の心中は察するにあまりある。

 被害者の女性をさらなる苦境に追い込むだけに終わった米軍「大軍法会議」の判決を私たちは黙過することはできない。
 私たちは米軍当局にこのような不当判決を即刻撤回するよう要求する。

◆日本政府の責任

 私たちは、米軍「大軍法会議」の開廷を導くことになった日本政府の責任をも厳しく追及するものである。
 米軍人による犯罪の捜査と裁判は、日米地位協定によって常に日米両政府の協議下で行うことが規定されている。

 女性の被害届けを受けて捜査を開始した広島県警は、当初、米兵たちに対する逮捕状を請求して強制捜査を行う方針であると報じられていた。それが急転し、強制捜査が行われないままの書類送検となり、広島地検は事件を不当にも不起訴処分とした。

 その背景には、そして被害者が軍法会議で証言を行う過程では、米軍と日本政府・関連各省庁各機関との間に何らかの協議と協力があったはずである。日本政府・関連各省庁各機関が動き、一般市民のあずかりしらない内に捜査権・裁判権は米軍側に譲り渡され、一般市民から秘匿された米軍基地内の軍法会議でこのような不当判決が下されたのである。

 広島事件の不起訴処分・軍法会議における不当判決は、すべての女性・市民の人権にかかわる重大な問題である。日本政府・関連各省庁各機関はこの不当判決を重く受けとめ、広島事件の発生から今日にいたるまでこの事件にどのように関与してきたのか、市民に対して責任をもって明らかにすべきである。

◆被害女性に正義を

 正義を求める米軍犯罪被害者に対して、これまで日本政府・関連各省庁各機関からいかなる保護と支援が与えられてきたのだろうか。私たちは広島事件の被害女性に心を寄せ、彼女が心理的、社会的、法的に必要とする援助を十分に受けることができていたのかどうかを憂慮している。

 事件以降マスメディアは、「合意」だと強弁する米兵の主張や「被害者の供述が曖昧だ」とする広島県警・地検の主張や「綱紀粛正に努めている」と自賛する米軍の主張ばかりを流してきた。しかし、被害女性自身の声はほとんど聞こえてこなかった。

 わずかながら報じられた軍法会議における証言の様子から察せられるのは彼女の圧倒的孤立である。彼女を軍法会議におけるセカンドレイプから守る保護策はどうであったか。彼女への法律的な助言は誰がどのように行っていたのか。彼女は自分の状況や考えを公にするのを助ける代理人を持つことができたのか。

 米軍当局・日本政府・関連各省庁各機関は米兵犯罪被害者に保護と支援を与えるために事件発生後どのようにその責務を果たしてきたのか、その経過を全面的に市民の前に明らかにするべきである。

岩国基地所属米兵の集団強かんに厳正な裁判と処罰を! 
被害女性に正義を!

2008年6月28日 「軍事基地と女性」ネットワーク運営委員会

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