2011.09.02

京都市・防災対策総点検中間報告の「原子力発電所事故等に関する対応」記載が酷すぎる。(2011年)

…琵琶湖の水の放射性物質による汚染に関しては,仮に琵琶湖方面へ放射性物質が飛散したとしても,琵琶湖の水量が非常に多いため,水中で希釈される。

【参照先】 京都市:第2回防災対策総点検委員会の開催について
PDF 防災対策総点検中間報告(開催日:2011年8月29日)

以下、当該箇所(「原子力発電所事故等に関する対応」p23~24)を引用。
(太字強調は引用者による)

(2) 今後京都市の採るべき対応
・ 京都市に近い原子力発電所としては,福井県に4箇所,計13基あり,このうち現在稼働中のものは4基である。
・ この発電所と京都市役所までの距離は60km ほどあるが,市域の久多,広河原の一部地域は,大飯発電所から30km 圏内にある(居住者なし)。
仮に若狭地域で原子力発電所の事故が起こった場合,緊急に避難すべき地域としては,京都府の「原子力発電所防災対策暫定計画」における対応と同様,EPZ(防災対策を重点的に実施すべき地域の範囲)としては20km を考えておけばいいと考えられる。
今後,京都市域で大規模地震が発生し,同時に若狭地域の原子力発電所で事故が起こって,福島第一原子力発電所で起こったような複合災害が起こるリスクはかなり少ないというのが,原子力の専門家の見方である。
・ しかし,同時に,想定を超えるような事態が起こっても,そうした事態に備えて的確に対応できるような準備をしておく必要がある。
・ 事故時の風況によっては放射性物質の飛散等に対する対応が必要となる場合も考えられ,また,そうでない場合でも,風評被害の発生が予想される。これらのために京都市が採るべき対応としては,環境放射線,農産物,飲料水等のモニタリングをしっかりと行い,こうした情報を迅速かつ正確に市民に伝えるなど,不安を軽減するための取組を積極的に進めていくべきである。
・ 環境放射線を継続的に測定するモニタリングポスト等を京都市北部に設置するなど,モニタリング体制を充実していく必要がある。
琵琶湖の水の放射性物質による汚染に関しては,仮に琵琶湖方面へ放射性物質が飛散したとしても,琵琶湖の水量が非常に多いため,水中で希釈される。さらに,水道原水の放射能測定を定期的に実施し,水道水として供給される前にろ過等の浄水処理を行っている。ただし,浄水処理により発生する汚泥への残留や淡水性魚類への蓄積等には注意を払う必要がある。
・ 国,京都府,滋賀県等と連携し情報交換等を行うとともに,緊急時にはSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)も含め,放射能に関する必要な情報を共有できる体制を整えていくべきである。


これについての当然の批判・関連情報など、以下に引用

これはひどい。京都市の防災対策総点検(中間報告)
−原発事故対応について – 京都・環境ウォッチ

…これに先立って、
7月13日に「京都市防災会議専門委員会」が開かれたのだが、
(議事録が出ています)
本当にひどい。
琵琶湖の汚染について
下記は、専門委員会での古賀特別委員の発言です。

古賀特別委員(元近大教授 放射線管理工学):「びわ湖は非常に大きいので水量で希釈されるということがありますので、水源としての琵琶湖というふうに考えると、今、福島なんかで海水のことと同じように考えてもらって、希釈されますし。これは専門ではないのですが、水道(水)にする前には色々とろ過装置であるとかそうゆうふうなことがありますので、今のそうゆう浄水場の土の方にほとんどが残って、水道水として出るときには非常に希釈されているというふうには考えます」

中村和雄WEB: 「京都市防災対策総点検」中間報告

…わたしは、水俣病の被害者たちと裁判を闘ってきました。窒素が水銀を不知火海に垂れ流したときに、当時の行政担当者が今回と同じように「不知火海は広いから海の水で希釈される。」といっていたことと同じ発言です。いまだに多くの被害者が苦しんでいる水俣病の経験をまったく勉強していないとしか言いようがない信じられない記載です。


【9月24日付補足・参照資料】
「京都市消防局 防災会議及び防災対策の総点検」ページより、
⇒ 専門委員会 平成23年7月13日(水曜日)開催 本能寺会館
『第1回京都市防災会議専門委員会 議事録』(PDF 102KB)

上記『専門委員会議事録』p17から
(2)原子力発電所事故等に伴う京都市としての対応について
(太字強調は引用者による)

『専門委員会議事録』p21~23にかけて

○三島特別委員
それでは,私のほうからちょっとお話しさせていただきます。
まず,先ほど土岐先生のお話がありましたどこまで被害を想定するかということです。
それで,今回の地震とか津波に対しては,既に国の方から各事業者に緊急安全対策等,追加指示とかもありましたし,そういうことを含めて安全対策が既に一部なされて,長期的にはまだ続くわけですけれども,そういうことで少なくとも今回の地震,津波に対する対策というのは既にとられているということで,全く同じことが起こるということはちょっと考えにくいのです。それから,京都市で地震の被害があった時に,それと同時に若狭地域の原子力発電所で事故が起こって,いわゆる今回起こったような複合災害が起こるかどうかと,リスクとしてはかなり少ないのではないかなという気がします。
ただ,先ほどのお話にもありましたように,想定を超えた時でも手の施しようのないような事態にはならないようにということで,想定を超えた事態になっても何らかの形でカバーできると,そういう準備をする必要があるということだろうと思います。もし,京都市で地震が起こったと同時に,若狭地域の原子力発電所で今回の福島のような事故が起こったということを想定しますと,これまでの福島の事故の経過を見ますと,先ほども防災の対応で緊急の対応する時間帯とか,それから後で避難する時間帯とか色々ありましたけれども,恐らくそういう考え方で原子力発電所の事故も対応としては緊急に避難すべき時期,それから長期的に避難とかいろんな対策がとられる時期というのがあると思います。
実際,福島の経緯を見ますと,最初に事故が起こった1日,2日は,緊急避難というか,そういった事態,対応がとられていまして,実際,国の緊急避難の指示が出たのは12日までに既に終わっている訳ですね。それ以前に,東電福島のいわゆるベントというのがあって,そこで放射性物質が出るおそれがあるということで避難指示が出た訳ですけれども,その避難指示,20㎞圏までに拡大した後,水素爆発が起こって14,15,16日に大量の放射性部室が放出され,その後の経過を見ますと,その時点で放出された放射能が大部分で,それ以降,放射能が出たという記録はないと思います。ですから,現在計画的避難区域が北西の方向に広がっていますけれども,恐らく14,15,16日の天候によって,風向きが北東ですか,そちらの方に流れていて,その辺にセシウムとかヨードが飛んでいって蓄積された。現在,ヨウ素の半減期は大体8日程度ですので減衰してしまっていて,セシウムが地面に蓄積といいますか沈着していて,それの影響がずっと残っている。これは半減期が30年ですので,随分長いこと残ると思います。そういった影響が残っていて,計画的避難区域とかそういうお話になっているということだろうと思います。

ですから,そのことから考えますと,京都市にどういう事故が起こって,どういう影響があるかということですけれども,風向きによって随分話が変わって来るんじゃないかなと思います。
それで,先ほどお話にもありました京都府のほうでEPZ20㎞というふうに拡大されましたけれども,それは今回の福島で避難指示が出た区域は20㎞ということで,それを参考につくられたのだと思うのですけれども,若狭地域でそういうことがあれば,やはり20㎞ぐらいを当初の目標と言いますか,緊急に避難すべき地域というのは20㎞を考えておけばいいのではないかなというふうに私も思います。
ただ,先ほども言いましたように,遠くまで影響が及ぶとなりますと,例えば北西の方向から風が吹いた場合に,京都市のほうに放射性物質が飛んできて,それがもし沈着するとなると,その影響が残る。福島の事故では,沈着して線量が1mSvを超えている地域と言うのは,たしか30㎞か40㎞ぐらいまで広がっていたのではないかなと思いますので,一部京都市の北のほうにもし運悪くそういう方向に吹けば,影響がある可能性があるということでございます。
放射性物質がすぐ飛んできて大騒ぎで,大急ぎ避難しないといけないかと言うことについてはそうではなくて,大急ぎで避難するべき時期というのはやはり20㎞圏ぐらいに限られ,その後,もし長期的に影響が及ぶとしたら,その30㎞,40㎞,風向きにもよりますけれども,そういうところまで放射性物質が飛んできて,それが地面に沈着すれば影響が残ると,そういうことではないかなというふうに思います。福島の例を見ますと,60㎞ぐらいまで行きますと,もうそういう事故が起こって年間の被ばく量を考えても,たしか1mSvにはなっていなかったのではないかなというふうに思いますけれども,IAEAの目安としての20mSvですか,それを考えるとすると,ちょっと私の記憶で定かではないのですけれども,30㎞,40㎞ぐらいまで風の飛んでいった方向の一番先端がそれぐらいかなと,
そういう感じがいたします。ですから,そういったところで対応を考えておけば,大丈夫ではないかなというふうに思います。
ただ,実際上の被ばくの被害というのは,そういう感じだと思うのですけれども,一番怖いのは放射性物質が飛んで行って,例えば野菜にくっついたとか飲み水の線量が上がったとか,そういったところでそれほど線量が高くなくても,やはり不安感というのがありますので,そういった住民の方々の不安をどういうふうに抑えるかといいますか,鎮めるかとか,それから京都市というのは観光ということが重要ですので,地震と同時にそういう事故が起こって,放射性物質が京都市の方に飛んで来たということになりますと,先ほど申し上げましたように,京都市の中心部は恐らく被ばく線量とかそういったことで問題になることはないのではないかなと思うのですけれども,風評被害で観光客が全く来なくなる。地震だともともと来ないかもしれないですけれども,それに輪をかけて放射性物質が飛んで来たということで,そういった被害も考えられますので,その辺の情報をどういうふうに的確に広報するか,そういうことが重要ではないかと思います。住民の方々とかそういった風評被害を防ぐためには,やはり放射線のモニタリングをきっちりやって,それを的確に,正確に,できるだけ早く皆さんにお知らせするというのが重要ではないかなというふうに思います。
大体以上です。

『専門委員会議事録』p26より

○土岐座長
ありがとうございました。他の委員の方々,よろしいでしょうか。
私,1つ原子力の専門の先生に教えていただきたいのですが,極めて個人的なことなのです。今,木下先生が仰った琵琶湖に,とにかく京都市に直接来る話ではなくて,(放射線物質が琵琶湖に)入ってそれが云々とすると,京都の水は大半が琵琶湖から来るわけなので,少し怖い話ですね。木下先生は考えてたくもないと仰ったのですが,仰るとおりだと思います。でも,だからといって考えない訳にはいかない。
それで,私が頭に浮かぶのは,今でも福島でいろいろ問題が起こっているのは,地表面に放射性物質が落ちる話ですね。これは平面の二次元の話ですね。少しは土の中にも潜っていくようですが,非常に浅い。ところが,琵琶湖に飛んできても,それは,今度は3次元の水たまりですよね。そしたら,表面に留まるわけではないので,いずれまざる訳ですよね。そうすると,何か野菜にくっつくというようなことよりは,もっと安心なのかなという気がしているのですが,それを考えてはいけないのでしょうか。というか,そう考えたいのですよ。二次元と三次元だから違うのではないかと。どうなのでしょうか。そういうことは皆さん,余りお考えにならないのか。

古賀特別委員
琵琶湖は非常に大きいので水量で希釈されるということがありますので,水源としての琵琶湖というふうに考えるのと,今,福島なんかでの海水のことと同じように考えてもらって,希釈されますし。これは専門ではないのですが,水道(水)にする前には色々と濾過装置であるとかそういうふうなことがありますので,今のそういう浄水場の土の方にほとんどが残って,水道水として出る時には非常に希釈されているというふうには考えます。
ただ,幾ら希釈されると言いましても,今ちょっと前に言いました淡水性の魚類なんかに濃縮されるということはあります。それで,今問題になっているのは,ヨウ素はもうほとんど無くなっているのですが,セシウムのほうは半減期が2年のものと30年のものとがありますので,長期的に考えると,チェルノブイリの時の琵琶湖の淡水のそういう生物に関しましても,10年間ぐらいは残っているというか,ありますから,やはり年単位でのそういうモニタリングが必要になって来る。量的にそういう影響があるかどうかということよりは,そういうふうな面で濃縮されていくのではないかなというふうに考えます。

○土岐座長
はい,よく分かりました。ありがとうございました。希釈され,一方でまた濃縮されるというふうななかなか厄介な現象が起こりそうですが。

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