2009.01.05

空襲下ガザからの報告6 アブデルワーヘド教授 (転載)[TUP-Bulletin] 速報800号

嘆きと悲しみの新年。
自家発電で命がけで世界に発信される現地の声

地上攻撃が始まり、ガザは「最悪の事態」に突入しました。
出口を閉ざされたガザというゲットーで150万もの人々が、難民となることもできないまま、地上部隊の攻撃にさらされています。
以下、地上攻撃直前までのガザのようすを報告します。

ガザのアブデルワーヘド教授からのメールの邦訳です。
邦訳: 岡真理; 凡例: (原注) [訳注]


【メール その18】

日時: 2009/1/1 (木) 18:34
件名: 嘆きと悲しみと死と 2009年元日のガザ

2009年元日のガザはどのような姿か? 
死がガザを覆い尽くしている。嘆きと悲しみが2009年という新年の挨拶なのだ。 血と大量の死体の匂いがする!毎分のように悪い知らせが新たに届く。 爆発音、爆撃、ミサイルの飛来音、崩壊、すさまじい破壊、イスラエルの無人機、アパッチその他の軍用ヘリ、F16型戦闘機、足元を揺るがす大地。破壊の跡がいたるところに。死体、千切れた四肢、泣き叫ぶ子ども、幼子や夫を探し求める母親。 どこに行けばいいのか、どこに隠れればいいのか、 誰にも分からない! イスラエルの攻撃のもとでは、安全な避難場所などどこにもありはしない。

市民社会の施設さえ標的にされた。法務省、教育省、文化省が破壊された!モスクも手ひどくやられた。うち6つは過去のものになってしまった。これらモスク周辺の何十という家々もすさまじく破壊され、粉砕された。人々は死に、また傷ついた。今日、2009年1月1日までに攻撃で2000人以上が負傷し、420人以上が殺された。
この数字には50人を上回る子どもたちが含まれている。

今日、ガザ市だけで、20回以上の空襲が実行された!最後の攻撃でジャバリーヤ難民キャンプの4階建ての建物が破壊され、少なくとも15人が殺された! このメッセージを書いているさなかにも、ガザ市北部、シェイフ・ ラドワーンで5階建ての建物が数分前、イスラエルの軍用機によって粉々に破壊されている!爆撃についてこれ以上、書き続けることができない、たった今、3回目の大爆発が起こった!


【メール その19】

日時: 2009/1/1 (木) 22:45
件名: ガザが再び燃えている

法務省(新築)、教育省(新築)、囚人問題省、立法評議会(新築)、両替所3軒、モスク3つ、民家3軒、移動中の車2台、そしてその他の建物も、空と海から、二度、三度と攻撃された。古い地元の石鹸工場も今朝、攻撃された。無人機とF16が何機か今まさに空を飛行中だ。朝には20機もの航空機が空にあった。昨晩、ガザの人間は1分たりとも眠れなかった!

イスラーム大学のイスラーム研究の教授でハマースの指導者であるニザール・ライヤーン博士が今日、殺された。F16がジャバリーヤ難民キャンプ中央部にある彼の4階建ての自宅を爆撃したのだ。彼の4人の妻と9人の子どもたちもいっしょに殺された。これまでの捜索で彼の家族14人が瓦礫の下敷きとなっていることが判明した。同地区の住居多数が甚大な被害を受けている。いくつかは人間が暮らせる状態ではなくなってしまった。ライヤーン博士は前にイスラエルが侵入したとき、戦闘で息子二人を亡くしていた!

あらゆる形で、毎分のように、ガザが再び燃えている!


【メール その20】

日時: 2009/1/2(金) 1:41
件名: 真夜中のガザ

真夜中のガザの姿とはどのようなものか?
完全な暗闇。ガザ市内の80%以上がすっかり闇に覆われている。この暗闇のなかでは自分の指すら見えない!一方、家の外では、無人機が頭上で唸り、軍用ヘリが空を徘徊している。家のなかに目を戻せば、子どもたちは就寝時間になっても、床につきたがらない!
悪夢や爆撃、爆発その他もろもろを恐れているのだ!

お決まりのように航空機の音が6日以上にわたり昼夜を問わず続いていたが、それが突然、消えた。・・・爆発音。・・・継続する爆発音。・・・一連の爆発。・・・ほかにも身の毛のよだつ爆発が複数。・・・爆風・・・ 遠くで燃え盛る炎。・・・子どもたちがベッドから飛び上がる。恐がって・・・震え上がって・・・不安そうに・・・どうしたらよいか分からずに!どこかに身を隠したい、でも、行くところなどないのだ。

まるでマットレスの下で爆発音がしているみたい、今度はどうすればいいの?ただ待つしかないんだ!だが、どうしたら子どもに待つことを納得させられるだろう?しかも、何を待つというのだ? 今度は、救急車と消防車のサイレンが聞こえてくる。それで我にかえる。私はガザにいて、小さな発電機を動かして、2009年新年に世界に向けてメッセージを書いているのだ。


【メール その21】

日時: 2009/1/3 (土)) 10:29
件名: 私は無事です

今のところ私は無事だ。しかし、私の住む地区に対する空襲はこの10分間で9回、最悪の事態を誰もが予期している!午前3時から4時のあいだに、ガザ市内の複数の目標に対して10回の空襲があった。イスラエルの軍艦からも砲撃があった。地元の漁船10隻以上がその場で炎上した!午後、イスラエルのラジオが、攻撃目標になっているガザ地区の36カ所を発表した。ガザ市東部の南北を結ぶ橋もあったし、ラファのガザ空港もあった。事態は悪化の一途をたどっている。今にも地上攻撃が始まりそうだ!

もう電気も水もない。ディーゼル[発電機の燃料]もほぼ尽きた。外出も無理だ。攻撃初日からずっと家にいる(今日ですでに8日。あと何日この状態が続くのか…)

神の祝福がみなさんすべてにありますように。

原文: Prof. Abdelwahed (ガザ・アル=アズハル大学
教養・人文学部英語学科) 発信の一連の電子メール
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【関連情報】 ガザ空爆下の写真
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