2009.05.28

『へいわ屋漫筆』第22回 青葉とラジオと学生と。

 「で、電車行ってしもた~!」
まだ春寒き夜更けのプラットホーム。ここは滋賀県。へいわ屋店主の声が虚しくこだまする。手にした携帯からは「だ、大丈夫っすか、カワムラさ~ん?」とM君の困惑した声。
次の電車は30分後。仕事帰りの貴重な足を棒に振ってまで相談に熱中していたのは…。
5月2日円山音楽堂集会(*1)での青年企画の構想だった。

 今年の憲法集会のメインゲストは瀬戸内寂聴さんと益川敏英さん。二大ビッグネームの前に、平和に関心のある青年で何かやってみないかというお話が、店主のもとに持ち込まれたのは4月初め。本番まで1ヶ月をきっている。仕事も繁忙期だし、へいわ屋の準備もしたい。店主は頭を抱えてしまった。初対面の若い方々と何ができるだろう。対談?寸劇?どれもいまいちビジョンが見えない。悩む店主を見かね「ジャンベ(*2)でもたたいてシュプレヒコールしては」というアドバイスも寄せられた。助言を嬉しいと思うと同時に、「うーむ珍案」とも思った。学生さんたちは、お人形のように舞台に並んでおとなしくシュプレヒコールを口にするだろうか?だとしたら、それでいいのだろうか。アイデアが浮かばないが、若者らしい自発的な企画にしたかった。

 半ばすがるような気持ちで、立命9条の会のT君と同大学君島ゼミのM君に連絡をとってみた。ここに、府学連委員長のF君も参加してくれ、4人で知恵出し(メール連絡で)をはじめたとたん、色々とうまくいきはじめた。M君が研究の一環として制作に携わっているラジオ番組の公開録音を、トークショー形式でステージ上でやってみることになった。
これなら、舞台上に若い顔も揃い、各々の観点からの発言も聞ける。「演し物」(コトバは悪いが)としての見せ所はクリアしている!店主の眉間のシワもようやく伸びてきた。

 事前に持った会議の会場は立命館の学内カフェテリアだった。そこらのカフェじゃないところがまた、店主を喜ばせた。学生らしいではないですか!ガヤガヤした「学食」的雰囲気に混じるのは、気恥ずかしくも懐かしくもあった。
この会議の進行に始まり広報的雑務まで、するべきことはたくさんあったが、彼らは非常に手際よく進めてくれた。話をする中で、それぞれ印象に残った言葉がある。語録風に記しておこう。数年後、読んでもらえるように。

  • T君;「学生運動がしたくて立命に入った。」「活動休止してない学生9条の会は立命だけ。」底力を感じさせる20歳。彼の小脇のカバンからはいつも魔法のように活動の資料が出てくる。
  • M君;「いいですねぇ。」「それでやってみましょうか。」店主が難題と思っていることでも、基本的にいつもこう答えてくれていた。活動「度量」って本当に必要だと思う。
  • F君;「参加者一人ひとりによりそった活動がしていきたい」静かに語る言葉には無駄がなく、常々深く考えているのだなとすぐにわかった。

その他、深夜までかかってポスターなどを作ってくれたSさん。プロ級の明るい司会をやってくれたNさん。さらに駆け込みで話を持っていった「市民ミュージカル」のお二人も合流して、当日がやってきた。

 例によって五月晴れ。
メインゲスト人気もあいまって、会場は4600人を越える人が溢れている。ざわついた楽屋の隅で行った打ち合わせ。みんな少しずつ高揚し始めている。(ように見えた。)

 そして本番開始。司会2人の元気(すぎた)第一声の大音量は、一部客席からクレームが来るほど(耳をやられた人、ゴメンナサイ!)だった。

 番組のエンディングには、ミュージカル『時間旅行はいかが』から、店主の一番好きな曲、『輪になって』を歌ってもらえることになっていた。
「生きてるから踊るよ。踊りたいから生きているよ。」劇中では確か村祭りの場面で使われていたけれど、ただの日本の調べではない、キューバの「ソン」なんかに似た「南」を思わせる打楽器の旋律。仲間と「生きる」ことの強さを、本能の側から知らせてくれる名曲だと思う。
 いつの間にか店主も学生さんたちも、一緒に歌っていた。

 音楽堂のレトロな舞台から客席後方を眺めると、そこには豊かな木々の若葉が見える。
5月の集会では、毎年これを見るのが楽しみでもある。今年の若葉と薫風はひときわ鮮やかで輝いていた。それは学生さんたち若い人の疾走感そのものだった。

(あれ??前述の「ジャンベでコール」案と、見た目的には似たことになっていた?!)

*  *  *

(*1) 関連サイト 憲法9条京都の会 http://9-kyoto.net/
(*2) 「ジャンベ」 西アフリカの打楽器

へいわ屋 2009年5月記 (PeaceMedia2009年6-7月号掲載)
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